【パパはだーれ?】


6.二人

 髪の毛と目の色が同じカインを父親と間違えていた。そんな単純だが波乱を巻き起こした騒動は、呆気なく幕を閉じた。何度も何度も謝罪と感謝の言葉を繰り返したミミの両親は、晴れやかな笑顔で去っていったのだが、残された者たちは大きなしこりが残った。しかし、レヴァイアと双子のダメージはまだ浅い。大変な目に遭った、とため息をついて少し時間を置けば立ち直れたのだから。大きなダメージを追ったのは、中心核だったルシフェルとカインの二人である。
「なんだってのよ、紛らわしいことすんなっての!」
「髪と目だァ? そんなんで間違うなよ。他は全然似てないだろが!」
「そりゃね、仕事が忙しくて滅多に会えないと小さい子ってなかなか顔覚えてくんないけどさ。って、んなの関係あるか!」
「幼少期の育て方で子供の性格は決まるって言うだろ。仕事よりも子育てしとけっつの!」
「そもそもね、小さい子はちゃんと目の届く範囲に置きなさいよ。迷子にさすな!」
「そうだ、しっかり見てろ! でもって、カゴに勝手に入り込むような育て方すんじゃねぇ! だよなぁ、ルシフェル!」
「そうよ! しつけがちゃんとできてないのよ! 人のカゴに入るなんて! ねぇ、カイン!」
 ゴロゴロと転がっている酒瓶の向こうでヤケ酒を飲んでいる二人を、双子はうわぁと言いながら見ていた。
「さっきより増えてる……」
「バズー、そろそろ止めにいきなさいよ」
「ちょ、押すなって! 無理だよ、絶対絡まれて帰れなくなるのがオチだって!」
「だって、行きたくないけど明らかに飲みすぎじゃない!」
「飲みすぎだけど、俺だって行きたくない!」
 二人同時に、酒に囲まれて愚痴を続ける男女を見る
「「放っとこうか」」

 双子はとぼとぼと自室へ歩き始めた。なんだかんだ言ってお似合いだよね、という失笑気味の呟きは、長い廊下に消えていった。
原因のミミが家族と共に改めてお礼にやってきて、また騒動が起きるのはもう少しあとのお話。

おわり。



セツリ様、ほのぼの可愛らしい作品をどうもありがとうございました☆



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