【G殲滅大作戦】
ゲラゲラと笑うのはもちろんレヴァイアである。
腹を抱えての大爆笑だ。
クスクスと控えめに、けれど確かに笑っているのはバアルである。
二人の目の前には、ぶすっとした表情の男女。
どちらも髪が少し燃えていた。
~エピローグ~
バアルは紅茶を二人に勧めた。ルシフェルは遠慮なく一気に飲み干す。双子は寝込み、ここにいるのは四人だけだ。この城の居候である天使の姿もない。
「大変でしたね」
「顔が笑ってる。全然労わってない」
「そんなことありませんよ」
そう言いつつも、彼の表情は変わらない。その隣の男よりはマシだが。
「お前は笑いすぎなんだよ!」
「だってぇ~爆発…って、さ…あははははは!」
「わかってねぇ! あの恐ろしさを! 俺達の苦労を!」
「わかってるしぃーあははははは!!」
カインは紅茶を飲むと、出された茶菓子を猛烈な勢いで食べ始めた。自暴自棄による暴飲暴食だ。
「そんなに食べると喉に詰まりますよ」
バアルの言葉もすべて無視だ。いじめ過ぎたか。バアルがそう思い始めた時、ルシフェルの視線が彼に刺さった。
「なんですか?」
「…いいよね、バアルは。氷出せるし」
「私、この能力をGに使ったことありませんよ」
「え、嘘!」
仏頂面だったルシフェルの表情が変わる。ふふ、とバアルは内心安堵した。
「本当です。レヴァ君は綺麗好きですからね。発生すらしませんし…あ、いえ、その」
「いいですよー。どうせ私が散らかして汚しまくった結果がコレですよー。すみませんね」
「ああ、いじけないでください。それに、出てきても秘密兵器があるんですよ、こちらには」
「秘密兵器?」
「ひいふへーひ?」
「カイン、食べてから話してください」
なんとか峠を越えたのか、レヴァイアも話に混じった。まだ大量に残る茶菓子に手をつけながら。
「そーそー。だから、安心なんだよな」
「ええ。掃除をやめる訳ではありませんが、気分的に楽になりましたね」
「なんだよ、それ。どんなんだ?」
「私も知りたい!」
身を乗り出して目を輝かせるルシフェルとカインに、二人は笑った。
「もうすぐ帰って来る頃ですよ」
「もうちょっと待ってな」
その時、首を傾げる二人の背後から足音が聞こえた。
「バアル様ー、帰りましたー」
「ほら、来た」
くるっと振り向くと、水色の髪を揺らすミカエルが立っていた。しかし、その足元には。
「じじじじ、Gぃー!?」
「いやぁー! なんでここに!?」
「えー、生き延びたGさんたちですよー」
「あいつ、生き物に好かれるんだよな。何でも言うこと聞かせちまう」
「便利ですよねぇ。城から連れ出してくれますから」
「早く! 早く捨てて来い!」
「近づけないでぇー!!」
「慌てちゃって、もう。大丈夫だよ、連れてくから。ほら、おいでー。もうお城に住んじゃいけないよー」
その後、うちに住んでくれという熱烈なアタックを繰り返したルシフェルたちであったが、バアルには勝てなかった。
(掃除をしなさい。整理整頓、これ基本です)
(ううー、努力します…)
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