【大会に出よう!】
『おっと、乱入だ! あれは……レヴァイア様とカイン様!?』
「飛び入り参加! 私もやりたいっ」
「ルーシー、我慢なさい」
『手伝ってる!? これは、バアル様!』
「アリです」
~4.ここ掘れっ~
「二人とも、どうして!」
突然現れたカインとレヴァイアに、バズーは驚いた。
「他の奴らが道具使ってんのに、お前が何もなしじゃダメだろ」
カインに続いてレヴァイアも言う。
「おうよ、俺らが道具だ。バズー、使え!」
「あ、ありがとうございます! でも、二人とも素手……」
「大丈夫だ、魔王レヴァイア、土になんか負けねぇ!」
「バズー、まかせろ!」
そこから、男三人のイモ掘りが始まった。他の出場者は次々とステージ上のキッチンへ戻って行く。早くしなければ、タイムオーバーで失格になってしまう。それだけは、なんとしても避けなければ!
「ん、これは……!」
手応えを感じ、レヴァイアは土の中からそれを引っ張り上げた。ずるずるっとつるが現れる。
『さつまいもだぁー!』
『惜しいっ! いもだけど!』
司会者に続いたルシフェルの声は、マイクを通して響いた。すぐにキーンと耳に痛い音が会場を包み、バアルが音量の調節を指示する。音はすぐに消えた。
「う、時間がないっ!」
時計を見て、バズーは慌てた。ステージ上には、バズー以外の出場者がもう料理を始めている。良い匂いがこちらにも漂ってきている。だが、手の中にジャガイモはゼロ。ああ、どうしろというのか!
だがその時、カインが叫んだ。
「バズー、ジャガイモだ! 受け取れぇ!」
投げられたものは、土がつきまくっていたが確かに丸かった。バズーは素早くキャッチする。
「ありがとうございます!」
大声で礼を言い、バズーは走り出した。
それからのバズーの勢いは凄かった。目に見えぬ包丁さばき、軽やかな動き。先に作り始めていた出場者を圧倒するほど、バズーの気合いは溢れていた。みんなが応援してくれてるんだ、最後まで頑張るんだ。その思いが届いたのか、時間内にバズーの料理はできあがった。
そして、審査の時。
『エントリーナンバー1、エリックさんの料理です!』
皿に被せてあるフタを開くと、おおーと場内がどよめいた。カメラの映像が大画面に映され、観客にもその料理が見える。エリックの料理は、どの角度から見てもおいしそうだった。
『エリックさん、これは?』
『鶏肉とジャガイモのココナッツミルク煮です』
説明が終われば、次は審査員の試食だ。そっと一口食べると、ルシフェルは叫んだ。
「んっまー! なにこれ凄い! バアル、おいしいね!」
「ええ。ココナッツミルクがいいですね。今度レヴァくんに作ってもらいましょうか」
他の審査員も、口々にうまいと褒めた。そして、点数がつけられる。
『高得点です! 86点!』
そんな審査が、三回続いた。ツナとジャガイモのグラタン、ジャガイモと豆乳のポタージュ、きのこ入りジャーマンポテト。点数は接戦だ。高レベルな戦いに、誰もが息を呑む。
そして。
『エントリーナンバー5、バズーさんの料理です!』
蓋をされた皿が審査員の前に並ぶ。
一斉に蓋が開かれると、場内は騒然となった。
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