【宝を探せ!~天界の秘宝~】
3.思わぬ続き
「どれ!?」
ヨーフィが急いでアザゼルのもとへ駆け寄ると、彼の前には一本の木があった。高さは二メートルほど。木にしては小さい方である。
「これだよこれ。なんかさ、人の形っぽくない?」
「ええー、そうかぁ?」
絶対これだって、と自信ありげにアザゼルが指差す木は、確かに人の形に見えないこともなかった。誰かが剪定した訳でもあるまいし、きっと自然とこんな形になったのだろう。だが、人っぽくても騎士に見えなくては話にならない。
「でもさ、騎士っぽさがなくない?」
「ほら、ここの出っ張った部分が剣っぽいような気が」
「……見えなくもないけど、んー、調べてみよう」
ガサガサ、ゴソゴソ。二人は枝の間、幹の部分、さまざまな場所をいろんな角度から調査してみた。宝を隠せる場所など見当たらなかったが、一応暗号の示す場所だろうと念入りに調べる。
「ないね」
「ないなぁ、ん?」
ヨーフィの手に、木の質感とはまた違った感触があった。そっと掴んで引っ張り出してみる。するとそれはぐるぐる巻きの布だった。まさか、これが…?
「なに、どうしたの?」
アザゼルがヨーフィの隣に屈む。ごくりと唾を呑みこんでから、ヨーフィは布を解き始めた。ここに、この中に宝が。
「え」
そう胸をときめかせていたのだが、布を解くとそこには一枚の紙が丸まっていた。まさかこの紙が宝ではあるまい。なんだろうと、二人は首を傾げた。とりあえず、広げてみる
『白いふわふわの中、閉じ込められた多くの翼』
たった一行の文だった。それを読んで、アザゼルが口を開く。
「次の、暗号?」
そうとしか思えなかった。最初の「赤い泉、緑の騎士」と同じである。いまいち理解できない文章は、きっとどこかを示す暗号だ。
「ヨーフィくん、どうする?」
アザゼルは隣のヨーフィを見た。ヨーフィは俯いていて、表情が見えない。だが、紙を持たない手が拳になり、ぶるぶる震えていた。
「……えー、と。大丈――」
その拳が、高く振り上がった。
「っしゃあ! 燃えてきたー! こうなったら絶対宝見つけてやる! アザゼル、手伝え!」
「え、あ、うん。いいよ。宝、気になるし」
「よし、解読開始!」
二人が頭を突き合わせて唸りだした時、真っ赤な太陽が泉を赤く照らし出した。
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