【白雪姫ルシフェル】
4.小人の家
ルシフェルは森をずんずん進んでいきました。まだかしら。何度目かの呟きの後、バッと視界が開けます。広がる草の絨毯の上にちょこんと立つのは小人の家です。
「やった、着いたわ!」
喜びにルシフェルは駆け出しました。にこにこ笑顔でドアを開けます。
「たーのもー!」
家の中には四人いました。
「「ルーシー!」」
声を揃えたのは双子のデイズとバズーです。その後ろで手を振るのは水色の髪のミカエルです。
「ミカちゃん! え、双子はわかるとしてミカちゃんが小人?」
「小人だよん。森の動物たちの配置要員とも言うけどねん」
「ああ、だから来る時いい感じに鳥のさえずり聞こえたりウサギが跳んでたりしたのね」
「何気に二役なんだー。あとでちょっと抜けるねん」
「そうなんだ、わかった。で、このうなだれてるちびっ子三人目は……」
テーブルに伏せている金髪にルシフェルは近づきました。
「えーと、もしかして天使?」
「うわああん!」
「泣き出した!」
小人ヨーフィの涙に、ルシフェルはわたわたとうろたえました。
「アタシなんかした!?」
「ルーシーのせいじゃないわ」
デイズはルシフェルを隅に引き寄せて小声で言います。
「実は、あいつ『白雪姫ラファさん』だと思ってたらしくて」
「えっ」
「敵だらけのアウェイな状況もラファ兄が来るなら耐えるって言ってたんだけど」
「じ、実はアタシで、がっかりして泣き出した…?」
デイズはうなずきました。ルシフェルはそっと振り向きます。
「もう、だから僕違うよって言ってたのにぃ」
「元気だせって。ほら、どっかに出るかもしんないじゃん」
「うぅ…ひっく……」
男二人がヨーフィを慰めてます。なんだか不思議な光景です。
ルシフェルも慰めに行こうかと考えました。しかし、主役という立場なのにわき役感満載の今の状況に少なからず腹が立ちます。何よ、みんなの同情買っちゃって。アタシなんて走ってお腹空いたけど我慢してるのよ。
デイズはルシフェルの拳に気づきました。そろそろとルシフェルから離れます。
「ルーシー、大丈夫…?」
声をかけつつもどんどん離れます。ヤバい。これはヤバい。
「泣きたいのは……泣きたいのはこっちだぁ! アタシ主役なのにぃ! うわああん!」
「ぎゃー! みんな避難!」
バズーが先導し、小人は全員家から出ました。それから、ルシフェルを落ち着けるのに三十分かかりました。
<<< BACK * HOME * NEXT >>>
* 破葬神話INDEX *