用語集【か】

怪物(失敗作)

天地創造後、たびたび神が創造に失敗して生み出していた奇っ怪な生き物。形容し難い姿形ながら「正しく創造されていたらこうなっていたであろう面影」を残しているのが特徴。本当なら天使として生まれるはずだった怪物は特に面影が濃い。

彼らの行動は極めて本能的。「男だろうが女だろうが大人だろうが子供だろうが関係なくどっか連れ去って食い散らかしやがるんだ」とミカエル談。彼らによって天使に初めて死者が出た。

ネタバレ要素を含む備考

この怪物たちは神が『簡単には終わらぬ子供たちを創りたい』という歪んだ願いと焦りによって生み出されていた。もちろん神はこれを自覚しており、自覚しているがために益々の焦りを覚えてまた失敗するという悪循環に陥った。

サタンとレヴァイア曰く、この怪物には魂が無いとのこと。これは神が魂を宿す前に怪物を外界へ解き放っていたため。こんな身体に魂を入れるわけにはいかないという良心から。しかし魂が無いゆえに怪物たちは徹底して本能に従い暴れ回ってしまった。

自分の姿を確かめる際の必須アイテム。
誰もが肉眼で自分の顔を見ることは出来ないため、鏡に頼るしかない。

けれど、よく考えてほしい。鏡に心から信頼できるほどの絶対性はあるのだろうか。
鏡に映った顔は本当に自分の顔なのだろうか。
仮に鏡は正しかったとして、その映った自分の顔を認識する自分の目は正しいだろうか。

迷い出したら彼の目を覗き込もう。その金色の瞳に映った姿こそ我が真実の姿。
そして問おう。「私が見えますか? どう見えていますか――?」

天使や悪魔がやたらと互いに真っ直ぐ見つめ合って会話する理由は此処にある。

加護

神や天使や悪魔が想いを込めたり更には己の血を塗りつけることにより相手または物質に大きな力を与える『祈り』のこと。加護主が強く相手を想えば想うほどに守りの力は増す。例えば力の強い者に強い想いで加護されればただの棒切れも決して折れぬ金色に輝いた最強の槍となる。

しかし精神がものを言う祈りの特性上、目につくものになんでもかんでも加護を与えると主の注意力が散漫して威力がバラけてしまう。無闇にやればいいというものではないらしい。ちなみに主が万が一に亡くなっても加護の効果は続く。

創造主の敬称であり蔑称。天使たちは敬いの意を込めて創造主を神と呼び、悪魔たちは皮肉を込めて彼を神と呼ぶ。「やれやれ、ちゃんと自分の呼び名を統一させとかないからこんなことになるんですよ」とラファエル談。でも当人は「もうなんでもいいです」と不貞腐れているだけなんだとか。

神様の肥溜め

牢獄の蔑称。神が見たくもないものを放り込む場所ゆえにこう呼ばれるようになった。

神様のゴミ箱

魔界の蔑称。

身体

破葬神話において神から肉体を与えられた者の殆どはこれを「魂を閉じ込める肉の牢」と言い、母から肉体を与えられた者の殆どはこれを「両親が丹精込めて創ってくれた最初の誕生日プレゼント」と言う。愛情を受けて生まれてきたか否かの違いは大きいようだ。

完全な死

肉体のみならず魂すら死ぬこと。終わりの概念を持つ破壊神レヴァイアは魂すら殺すことが出来ると言われている。彼曰く完全なる死とは「眠ったきり永遠に目覚めないようなもんだろう」とのこと。

希望

生者を生に執着させる強力な呪い。ある意味、絶望よりもたちが悪い。

希望の神

始まりや希望といった正を担う神サタンを指す敬称。ただし神である自覚はあれど本人がこう名乗ったことは一度もない。


役割:
希望の神の役目は始まりの概念そのものであること。そして流れ星となって彷徨う魂を引き寄せ、この世界での生を始めた者の存在を記憶すること。つまり希望の神サタンは『誰にも知られずに生まれることを万物平等に許さない。その生を忘れてもやれない』。彼は誰が何処で生まれようと必ず察して名を記憶し、その生を歓迎し新たな旅立ちを祝福する。

それはつまりどういうことか:
生者の思念と個々が最初に瞼へ焼き付けた光景を受け止めてしまう定めを負っている、ゆえに彼は天文学的数字の生を「あの子は生まれたその先でちゃんと幸せになれただろうか」と気にかけながらその身に受け止め続け背負っているということになる。生者一人一人の全てを背負う、これがとても常人には耐えられない負担であることは想像に難くない――と、思いきや本人はこれを負担に感じたことは殆ど無いらしい。

彼曰く「なんにもしないうちから嘆いてどうする。生は歓迎するものであって決して嘆き迎えるもんじゃない。そんな全ての存在を否定するような考え、俺は持ち合わせていない」とのこと。希望を担う者らしい言葉である。

備考:
羨望の眼差しを一手に引き受ける喜びと重圧を背負っており、この世界の光である『始まり』と『希望』の概念を司る彼の存在が無ければ世界は『希望』を見失い『始まる』という世界を世界として機能させるための最も重要な現象をも失うとされている。現在その力はサタンの一人娘ルシフェルが継承しているとのことだが……、サタンとは少し様子が違うようだ。

救世主

この世界を救うとされている漠然とした存在。だが誰かが言った、希望の神を父に持ち、しっかりと魂が収められた肉体を母から与えられ、破壊神からも愛され育った唯一無二の存在である女帝ルシフェルは間違いなく誰の想像もつかないほどの可能性を秘めているはずだ。彼女こそがこの世界の救世主なのではないか、と。

空間のバリア

世界を隔てる屈強な結界の通称。以下World Guideと同文。

それぞれの世界には神が設けた見えない壁(空間のバリア)が存在し、お互いがお互いの世界へ自由に出入り出来ないよう区切りがされている。ただし神の加護を受けている天使たちは全世界を自由に往来する事が出来、人間界においてはバリアが薄く悪魔でさえも容易に足を運ぶ事が出来た。他種族が決して足を踏み込めない程の強力な壁を持っているのは天界のみ。

なお、天界に設けられた壁は反逆戦争後に神が悪魔たちを恐れるあまり無我夢中で張ったもの。ゆえに破壊神ですら容易に破れない絶対の強度を誇るが神本人にも制御出来ない代物となった。これが両者の長い長い均衡が続いている一番の理由。

結界

魂の確かな意思により定められた強固な領域のこと。誰もが知らず知らず持っている領域でもある。何故ならこの世の生命は例外なく肉体という名の器を己の絶対領域として与えられ生まれてくる。身体の中に望まぬ異物が混入した際、多大な不快感を得るのがその証拠。

天使と悪魔がこの領域を意のままに広げることが可能なのは魂と肉体の癒着が緩いため。彼らは意図的に広げた領域を『結界』と称し日常生活のあらゆる場面で活用している。(例:望まぬ存在を己の周囲から弾く。姿を隠す。特定の相手とだけ密談をする等。逆に特定の相手を結界内に閉じ込めることも可能)。

なお、結界の強度は術者の意思の強さに比例する。何がなんでもという強い意思で築かれた結界は神であろうと容易に破れはしない。

余談:
創造主が己でも制御出来ないほどの強固な結界を天界と魔界の間に築けた理由は、そもそも彼が創造主として己が創造した肉体の器に領域を定め魂を呼んで閉じ込める術に生まれながら長けていたため。

余談その2:
レヴァイアは破壊神だけあって結界破り上手さに定評があります。

余談その3:
世界を隔てる結界はその規模の大きさから『壁』とも称される。

原初の人間

神が創造に慣れておらず天使との作り分けが曖昧だった頃の人間カイン、カインの弟、リリスの三人を指す言葉。彼らが問題児揃いだったが為に人間界は早々に神から見捨てられた(だがしかしこれが結果的に人間の大いなる進化に繋がる)。

余談:
神が創造に慣れていなかったが為にカインやリリスは異常に尖った身体能力を有していた。