用語集【ら】
ルシファー
「お前なんか希望なものか!」という感じで創造主に奪われてしまった『希望』を意味する魔界の帝王サタンの本名。
ルーシー
出会って早々ながら「テメーの名前長くてめんどいんだよ」と無茶苦茶な言いがかりでもってカインが付けたルシフェルのアダ名。響きが余程良かったのか、あっという間に浸透して親しい仲間の殆どはルシフェルをすっかりこう呼ぶようになりました。
なおカインは深く語らないが唐突にアダ名を付けた本当の理由は「ルシフェル」がサタンの本名と同じ意であることを本能的に察したので差別化を図りたかったから、また女帝の座についたばかりのルシフェルの気負いを少しでも和らげたかったから~…………なんてことは決してなく、ごく単純に本気も本気で名前をしっかり呼ぶのが面倒だったからみたいです。
牢獄
最下層の更に最下層、最も底辺に位置する巨大地下牢で構成された世界。『神様のゴミ箱』どころか『肥溜め』とまで言われている場所。神を憤慨させた大罪人はこの一筋の光すら差さない暗黒の世界に投獄され半不老不死の呪いにより終わりのない責め苦をその身に受け続けなければならない。
カインはこの地に投獄された最初の大罪人。最初だけあって責め苦の与え方に戸惑った天使たちは彼に対して実験的な拷問を数多く経験させたと言われている。
牢獄への行き方:
そりゃあもう大罪を犯すのが一番の近道……というのは冗談。ちゃんと徒歩での行き方をご説明します。
魔界にポツンと佇む牢獄の入り口はバアルとレヴァイア曰く「そんなに遠くない場所」にあり、現にバアルの城から翼を広げて飛んで行けば30分ほどで到着する。街から徒歩ならおよそ徒歩1時間半ほどの距離。真っ直ぐその方向に歩いて行くと地平線の向こうからゆっくりと牢獄へと続く巨大な鉄扉のはめ込まれた壁の頭が顔を出す。
鉄扉の高さは凡そ10m。サタンが思い切り踏ん張らなければ開かないほどの重さ。(ただし呪いが和らいでいた影響からか数千年後にルシフェルが訪ねた際は非力なルシフェルの腕でも容易く開くことが出来た)
鉄扉から漂う異様な空気に触れただけで下手に近付いた者は言葉を失い怯えて逃げ帰るという。
鉄扉を開けると一筋の光も通さない大きな闇が顔を出し、月明かりを僅かに吸い込んで「来るならどうぞ」と先の見えない長い長い石階段を見せつける。この終わりの見えない石階段を屈強な悪魔の足でもってひたすら下り続け20~30分でようやく牢獄世界に辿り着く。
牢獄の詳細:
サタンが訪れた当時は罪人がカインただ一人しかいなかったため牢獄の規模はとても小さなものだった。入り口から続く長い階段を降りてすぐの太い一本道を奥深くに進めばカインのいる大きな牢が一つ存在しただけである。それが年々罪人の数が増加するに伴い牢獄も蟻の巣のように広がっていった。数千年後にルシフェルが訪れた時の規模たるやサタンの記憶にある牢獄とは比べ物にならなかったことだろう。
四方八方を石壁に囲まれた牢獄では蝋燭などの僅かな薄明かりだけが頼り。見張りの皆さんはこの薄明かりを頼りに生活している。
拷問係として訪れた天使の皆さんが「暗すぎて仕事にならない!」と感じたら不思議な力で室内をもうちょっとだけ明るく出来る。
牢屋:
大体一部屋4畳ほどの広さ。鉄格子付きの扉に閉ざされ(拷問の際はもう一枚の鉄扉によって完全に塞がれる)、手足を拘束する鎖の他は剥き出しの石壁しか存在しない密室。罪人同士が顔を合わすことは難しいが声のやり取りだけなら出来た。一般の罪人は此処に幽閉される。
カインの牢:
カインが幽閉されていた牢獄内で最も大きな牢屋。悪戯に広い分、カインは酷い孤独感に苛まれた。
見張り部屋:
何を見張っているわけでもないが見張りの者たちが住む一角をこう呼ぶ。最低限の衣食住が確保されており、長テーブルの置かれた大広間を中心に一人一人の小部屋がある。
物置部屋:
そのまんま物置部屋。拷問道具なんかが収納されている大きな倉庫。天使たちは此処から好みの道具をチョイスして罪人たちの元に向かう。
住人:
牢獄世界の住人は罪人と見張りと呼ばれる全身鎧を身に付けた者たちのみ。それぞれ元は天使だったり人間だったりしたようだ。(破壊神レヴァイアの加護を受けて暮らしている悪魔たちは余程のことがない限り罪人として捕らえられることはない)
みんながみんな同じ境遇に苦しんでいる身ゆえ牢獄に住む者たちはもっぱら仲良し。責め苦を受けた後なんてはお互いにしっかり励まし合っている。
大罪人:
カインのみが当てはまる名称。彼が一線を画する存在だった証としてまず他の罪人たちが拷問時間外では鉄格子を挟んで会話出来るのに対し彼の牢は重厚な鋼鉄の扉によって完全に閉ざされていたことが上げられる。扉から漂う空気も酷く、見張りたちもこの部屋には下手に近付けなかったという。
罪人:
それぞれ牢屋に一人ずつ幽閉され鎖に繋がれて責め苦を受けるためだけに生きている者たち。うっかり神を怒らせたばっかりにこの有り様ゆえ「あーあ、ドジこいたぁあああ……」が彼らの口癖である。
・天使だった罪人は天使と悪魔の間に位置するような薄汚れた姿をしているのが特徴。背中の翼をもぎ取られているため背中に大きな傷跡もある。
・服装は男も女も腰布一枚。それでも、あるだけマシ。
見張り:
牢屋ではなく決して脱ぐことの出来ない全身鎧に身体を閉じ込められている者たちのこと。犯した罪の程度が軽いため、ある程度の自由を許されて牢獄内をウロツイて暮らしていることから『見張り』と呼ばれるようになった。暗いのがイヤだからと壁に設置した蝋燭に絶え間なく火を灯すのが日課。拷問係の天使がやって来た際は雑用の手伝いをさせられたりもする。
罪人と見張りについて補足:
もはや生き物にあらず、ということで罪人たちはトイレ不要。罪人たちに食事が許されないことも勿論だが何より呪いによって歪に変化した体内が排泄物を形成しなくなったため。(あんまり臭いと天使たちが拷問係をやるの嫌がると思って神様が気遣ったがゆえの処置)
・天界の市場で賞味期限切れとなった食材はもれなく見張りの皆さんの食事として牢獄に送られる。エコですね。
・見張りの皆さんは限られた食材と天使が置いていった怪しい薬品を頼りに酒を自作しているらしい。
・見張りの皆さんの生き甲斐はトランプゲームと罪人さんたちとの交流。中には恋人関係になっちゃった人たちもいるみたいです。
更に補足:
神に存在を忘れられた者は呪いが解ける=不死でなくなるため、拷問の度合いによっては絶命することが出来た。
拷問係について:
「罪人たちには何をしてもいい」という神の許しがあるために日頃の鬱憤を晴らしたい天使はこぞって拷問係に立候補するらしい。これも牢獄が底辺も底辺に位置する肥溜めと言われている所以。
拷問のやり方は天使によって様々。詳細は筆舌に尽くし難いものが殆どである。